C0PD トリプル吸入療法

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    "最強の治療法"トリプル吸入療法は諸刃の剣

    COPD治療のマイルストーンFULFIL試験

    https://medical-tribune.co.jp/rensai/2017/0615508936/?utm_source=mail&utm_medium=recent170616&utm_campaign=mailmag&mi=00128000005w5hSAAQ&fl=1

    ・これまで慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療といえば、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)あるいは長時間作用性β2刺激薬(LABA)、またはその合剤(LAMA/LABA)であった。この礎をつくったのはLAMA、特にチオトロピウム(スピリーバ®)のUPLIFT試験の結果である。

    この試験でLAMAは4年にわたり呼吸機能を改善し、全死亡率を有意に低下させた。また、LABAはLAMAと同程度の症状改善効果・肺機能改善効果があるとされ、国内外のガイドライン上はLAMAと肩を並べている。

     

    ・一方で、COPDに対する吸入ステロイド薬(ICS)とLABAの合剤は、LABA単剤と比べてCOPD増悪の頻度を抑制するとされている。

    そのため、症状が強いCOPD患者にはLAMAあるいはLABA、LAMA/LABA、増悪を繰り返す患者にはICS/LABAを用いるプラクティスが一般的であった。

    しかし、重症例はそのいずれの選択肢でも満足なコントロールが得られなかった。

    そのため、”最強"のCOPD吸入薬としてトリプル吸入療法(LAMA/LABA/ICS)が最も有効ではないのか―そういう意見が出てきた。

    このような中、FULFIL試験が発表された。

     

    ・実は、ICS/LABAは肺炎のリスクを増加させるのではないかと考えられている。

    おそらくLABAは関係なくて、ICSが肺の免疫応答を減弱させて、肺炎のリスクを有意に増加させてしまうのだろう。

    ICSと肺炎の関係は、かなり前から示唆されていたので、特に肺が弱った高齢者ではその影響は顕著に出るだろうと考えられていた。

    しかし、ICS/LABAがCOPD増悪の頻度を抑制することから、負の側面についてはある程度目をつぶっていた節があった。

    しかし、今回のガイドラインで明言されたことにより、世界中でCOPDに対するICS/LABAの処方が減ってしまうかもしれない。

     

    ・ガイドラインに記された臨床試験は、FLAME試験である。

    これは、LAMA/LABAであるインダカテロール/グリコピロニウム(ウルティブロ)とICS/LABAであるサルメテロール/フルチカゾン(アドエア)を比較した研究で、ICS/LABA群よりもLAMA/LABA群の方がCOPD増悪回数を減少させ、増悪までの期間も延長させたことが明らかになっている。

    非劣性だけでなく優越性も示された。 

    この臨床試験で、ICS/LABA群の肺炎の頻度は、LAMA/LABA群よりも高かったのである。

     

    ・つまり、COPDに対してLAMA/LABAを使う理由はあれど、ICS/LABAをあえて用いる理由がないかもしれない、そういう結果が示されたのである。

    ただ、トリプル吸入療法を適用することでCOPD患者の肺機能が改善することは確かである。

    その恩恵と、肺炎リスクの恩恵をどう天秤にかけるか、トリプル吸入療法の難しさはそこにある。

    今、COPDの世界では、軽症のCOPDであってもLAMA/LABAを用いるべきという流れになりつつある。それがさらに発展して、トリプル吸入療法を早期から適用すべきという議論も出てくるかもしれない。

     


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