大気汚染物質PM2.5、肺がん発生の一因か 海外で分析
・微小な粒子状の大気汚染物質「PM2.5」に暴露されると、肺がんの原因として知られる特定の遺伝子の変異が影響を受けてがんの形成が進むとみられるとの研究結果を、英国の研究チームが5日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
予防法の開発につながる可能性があるとしている。
・チームはEGFRという遺伝子に変異がある英国や台湾、韓国、カナダの肺がん患者ら約3万3千人を分析。
喫煙と比べてリスクは低いものの、PM2.5の濃度が高い地域ほど肺がんの発生頻度が高い傾向を確認した。
・カナダでの追跡調査では、PM2.5を含む大気汚染物質に3年間さらされた人の肺がんの発生頻度は、汚染物質の濃度が低い場合は40%だったのに対し、高い場合は73%だった。
・ESFR遺伝子に変異のあるマウスの実験で、PM2.5が肺に入ると免疫細胞が肺へ流入し、
「インターロイキン1β」と呼ばれる炎症性物質が放出されて細胞のがん化が加速した。
PM2.5にさらされている間にこの物質の働きを薬剤で阻害すると、がんの進行を妨げられたとしている。
参考・引用一部改変
日経新聞・夕刊 2023.4.6
参考
PM2.5(微小粒子状物質)について
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/category/7-19-1-0-0-0-0-0-0-0.html
微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報について
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/mizutaiki/0000058568.html
・PM2.5は、粒径が2.5μm(1μm[マイクロメートル]=1/1,000mm)以下の大気中に浮遊する粒子状物質(Particulate Matter)をいう。
・粒径が非常に小さいため、肺の奥まで入りやすく、肺がん、呼吸器系への影響に加え、循環器系への影響が懸念されるといわれており、平成21年9月9日に、これまで調査している浮遊粒子状物質(粒径が10μm以下)に加えて環境基準が設定された。
・PM2.5は単一の化学物質ではなく、炭素、硝酸塩、硫酸塩、金属を主な成分とする様々な物質の混合物で、生成機構により発生源から大気中に排出された時に既に粒子となっている「一次粒子」と、排出された時は気体であったのが、大気中で化学反応を起こして粒子化する「二次生成粒子」に分類されます。
・なお、PM2.5の一次粒子と二次生成粒子の排出源は多岐にわたり、生成機構も未解明なところが多いですが、移流による影響も大きいと言われています。
コメント;
Air Dogの謳い文句は、ウイルスよりも微細な0.0146μmの粒子も除去するとのことです。