メタボ基準に修正案 心疾患リスク見逃し減少 新潟大、56万人データ解析
メタボリック症候群を診断する特定健康診査(メタボ健診)について、新潟大のチームは10日までに、ビッグデータを解析して、心血管疾患の高リスク者を高精度に検出できる診断基準の修正案を発表した。
現行では近い将来心血管疾患を発症する女性の9割、男性の7割が見逃されていた。
案では男女とも5割超の予測が可能になるという。
メタボ健診は40〜74歳が対象。
腹囲が男性85cm、女性90cm以上で、血圧、血糖、脂質のうち、2つ以上基準値を超える人をメタボと診断する。
チームは2008〜16年に健診を受けた18〜74歳の約56万人の医療ビッグデータを分析。約5年間、虚血性心疾患や脳卒中の発症の有無を追跡し、将未発症する人を見分けるのに最適な基準値を算出した。
案では、収縮期血圧(最高血圧)が男性130以上、女性120以上とし、空腹時血糖は男性100以上、女性90以上とするなど男女別に現行より厳しく設定。
適用すると5年以内の発症者を検出する「感度」が男性は31%から56%、女性は9%から55%に上昇した。
現在必須とされている腹囲を考慮しなくても、予測能力はほぼ同じだった。
研究チームの代表は「腹囲だけに注目せず、軽症でも複数のリスク因子の組み合わせが心血管疾患を引き起こすという基本の再認識が重要だ」と話した。
(日経新聞・朝刊 2024.3.11)
コメント;
この研究は、メタボ健診における、メタボの必須でありかつ必要条件である「腹囲」という項目を除外したことに注目すべきです。
つまり、肥満というメタボの概念を取り除き「厳しい血圧基準」と「厳しい血糖基準」を設定したことに特徴(目新しさ)があります。
端的にいえば「メタボ」の概念を取り除いたことになります。
ここで気になるのは、血圧、空腹時血糖の許容数値に男女差を設け、かつ女性に厳しい正常値を定めたことです。
従来、この二つ(血圧、空腹時血糖)の数値の正常値に男女差をつけることは一般的ではありません。
あえて男女差を設(もう)けるとするなら、普通の考えでは、男性に厳しく女性には甘い正常値とするのではないでしょうか。
「男女差なし」、「女性に甘い基準」、「女性に厳しい基準」での検討はされているのでしょうか。
そのあたりが気になりました。